Side:理樹

大騒ぎが始まってもう5時間経つって言うのにみんなまだいろいろやってる。
今は恭介がどこからか持ち出してきたトランプで、3人1チームのスピードのチーム戦だ。
「うおおおおお、来ヶ谷に手も足も出ねええええええええ!?」
「ふ、甘いな真人少年」
「くぅっ、やるじゃない、みゆき」
「紙一重でした。あやさんもさすがですね」
「わふー! また勝ったのです!」
「うおおお、また能美に負けてしまった・・・」
「謙吾お前、何で負けてるんだ?」
「途中で置けるカードが無くなるんだ・・・。能美はその間も置き続けてだな・・・」
「引きが悪いかやり方が悪いかだな、それは」
「ボケ兄貴! もう一回だ!!」
「残念。お前のチームは謙吾も負けて敗退」
「にゃ、にゃんだと!?」
「私は勝ったのですが・・・」
「勝負には負けましたが試合には勝てたようですわね。おーっほっほ」
「 負け惜しみですか」
「違いますわ!」
「お姉ちゃん、手加減してくださいヨ・・・。うち三人とも黒星ですヨ?」
「悪いわね、勝ちは勝ちよ」
そんな騒がしい面々を、ちょっとだけ離れて見ている。
まぁ、単にちょっと騒ぎ疲れて休んでるんだけど。
「理樹くん、お隣いいですかっ?」
「あ、小毬さん。うん、いいよ」
小毬さんが隣に座る。
「審判してたんじゃないの?」
「うーん、ついていけないよ〜・・・。みんな凄い早いから〜」
「あー、そうかも」
小毬さんの言葉に苦笑。
「でもよかったね〜。みゆきちゃんも元気になって」
「うん。ほんとによかったよ」
しみじみと思う。
やっぱり、みんなが笑ってるのが一番いいと思う。
「そういえば古式さんって結構常識人っぽいよね。・・・僕の突っ込みの負担減らしてくれないかな?」
「・・・あの、理樹くん?」
「佳奈多さんも笹瀬川さんも意外と暴走する人だからなぁ・・・。あやさんは言うまでもなく」
「・・・理樹くん、私は?」
「・・・え、小毬さん? ・・・・・・ノーコメントにしとくよ」
「ふえええ〜〜!?」
隣で「わ、私って突っ込み貰う人だったのか・・・。よ、ようしっ」と前向きマジックを唱えている小毬さんに笑いながら、またみんなを見る。
「そうだ、古式。忘れていた」
「はい?」
「リトルバスターズ入団を記念して、お前にこれをやろう!」
って、謙吾どっからリトルバスターズジャンパーなんて持ってきたんだ!?
ああ、でも、古式さんなら多分やんわりと断るんだろうな。
「あ、ありがとうございます!」
ばたん。
「ほわ!? りきくん!?」
「・・・えー、いや、ちょっとまってよ、えー・・・?」
テーブルに突っ伏した頭をもう一度上げる。
「このロゴ、素晴らしいです!」
「そうだろう! 判ってくれるか古式!」
「はい! もちろんです!」
ぎぃぃ、がたん。
「ほわあ!? り、りきくん大丈夫!?」
椅子ごと床に倒れこんだ。
「俺が自分でデザインしたロゴだ。自分でもいたく気に入っている!」
「宮沢さんが自分で・・・? ということは、これは宮沢さんの手作りなのですか?」
「うむ、そうだ」
「宮沢さん!」
「何だ?」
「私、これを自分で作ってみたいです、ご教授お願いします!」
「何だと!? ふっ、まさかそこまでこの魅力に気づいてくれるとは・・・。いいだろう、この道、修羅の道と心得よ!」
「はい!」
・・・・・・・・・えー?
いや、ほんとちょっと待ってよ、えー?
ああ、そういえば・・・。
「り、理樹くん?」
「・・・そうだった・・・。古式さん、謙吾の幼馴染だったんだ・・・。謙吾と同じネジ持ってても不思議じゃなかったんだ・・・。僕の馬鹿僕の馬鹿僕の馬鹿・・・」
「り、りきくん、しっかりしてー」
・・・どうやら、このメンバーの突っ込み役に僕以外が出ることは当分無いらしい。



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