今日も今日とて美魚ルーム。
恭介が持ち込んだDVDを二人で鑑賞する中、美魚がぽつりと。
「やはり1×2は最高ですね。Wはある種の聖典です」
「・・・・・・お前はもうちょっと素直に物語を楽しむことを覚えろよ。『後の戦士たちの為にー』とかかなりの燃え所だぞ?」
「楽しんでますよ?」
「ほんとか? そもそも大体やおいなんてものの何が面白いんだ?」
「恭介さん、あなたは今私の大事なものを土足で踏みにじりました」
「マジでか」
「確かに、やおい文化というものは多くの一般的な方にしてみれば異端です。ですがそれだけではありません。
現に過去、歴史において異端とされていた学問が新たな世界を開いたことも多々あります。
やおい文化もそれと同じく、未知への挑戦、新たな世界を切り開くための新たなる萌え領域なのです・・・!」
語られた。おまけに拳を入れて。
「な、そうだったのか・・・! 敢えて潮流に逆らう反逆者的存在、うおお、燃えるじゃねーか!」
「燃えてきたところで、恭介さんも実践に移されてはどうでしょう?」
「実践って?」
「具体的にいうと、棗×直枝」
「それは断る」
「残念です」
再びDVD。
「とはいえ、その挑戦姿勢は見習わなくもない」
「そうですか?」
「というわけで、カップリングをひとつ妄想してみた」
「何でしょう?」
「ドクター×プロフェッサー、どうよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
長い沈黙。
「ぐすっ」
「泣いた!?」
「汚されました・・・。私の心が汚されました・・・っ」
「あ、いや、すまん」
「責任、取ってもらいます」
「えっと、具体的には?」
「棗かける」
「だが断る」
「酷いです。鈴さんに恭介さんにレイプされたと電話してやります」
「待て待て待てまてまてえええええええええええええええ!!」
以後、この類のトークに恭介が踏み込むことはなかったという。