「相川君。相談って何?」
「やぁ、直枝君・・・。実はね・・・」

新学年になってすぐ、とあることで顔見知りになった相川は、どんよりとした雲を背負っている。

「・・・何? どうしたの?」
「うん・・・実は・・・」

たっぷり数分。
貯めに貯めて、相川は次の言葉を口にした。









「僕のクラスに、相浦という人が居たんだ・・・」
「・・・・・・・・・は?」
「判るかい!? この意味が!? 僕はきっと一生出席番号一番という、自力ではない単なる名前の整理番号だけれど、それでも名誉ある一番を背負いつづけるんだろうって思ってたのに、まさかそれが、こんな形で奪われるなんてええええええええええええええ!!!!!!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
「ああ、そうか、うん、判らないだろうね、君には。所詮永遠の下位ナンバーだものね! な行なんて!」
「・・・いや、えっと・・・」
「それだけならまだいいよ! さらに相笈なんて人も居たんだ!! おかげで僕は出席番号三番だよ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ちくしょおおおおおおおおおお!! 何で、何でこんなクラス編成したんだあああああああああ!! 出て来いクラス替え担当ううううううううううううう!!」
「・・・はぁ」



ばかばかしくなって、理樹は黙って踵を返した。









後日、そのクラスを見ると、「相 川翔」とかいう妙な名前が出席番号一番になっていた。
相川君はいなかった。




「・・・・・・・・・何も無かったことにしよう」



そうすることにした。

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